第156回教父研究会のご案内

第156回教父研究会は、2016年6月25日(土)14時から18時まで、東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3において開かれます。
 今回の研究会においては、2名の発表と総会を予定しています。例年とはプログラムが変化しているので、ご注意ください。

  • 全体プログラム
    • 14:00-15:00 研究発表 1
    • 15:00-15:30 総会
    • 15:30-18:00 研究発表 2
  1. 福田淑子(早稲田大学)「「無原罪の宿り」の視覚化」
    • メッセージ:
       「無原罪の宿り」には、教理をめぐるフランシスコ会とドミニコ会の「議論」というコンテクストのもと、図像が神学との補完関係を保ちながら教義としての発展に寄与していった歴史がある。
       そもそも人々は自然に「マリアは罪をもたなかった」と信じていたのであり、神学や胎生学に基づく議論はその信心の形成に影響を与えるものではなかった。しかし、マリア崇敬の広がりとともに神の母であるマリアが原罪をもったか否かが問われると、聖書に記述が認められない「無原罪の宿り」には根拠としての神学が大きく関わってくる。そのため伝統的に「無原罪の宿り」の視覚化は困難とされ、主題そのものを図解した図像(以下、「無原罪の宿り」図像)が制作されるまでは他主題を援用しながら表現されていた。その「無原罪の宿り」図像が初めて制作されたのは15世紀後半であり、両修道会の議論が激しく展開された時期にあたる。
       本発表では以上の事情を考慮し、なぜ「無原罪の宿り」を視覚化する必要があったのか、「無原罪の宿り」図像は何を目的として制作されたのかを考察の柱として論じる。その際、これまであまり論じられる機会のなかった「無原罪の宿り」が「月を踏み12の星の冠を頂くマリア像」に画一化される以前の「無原罪の宿り」図像をとりあげ、図像解釈における諸問題を指摘しながら教義史における図像と神学の関係、及び図像が担った機能について確認したい。
  2. 樋笠勝士(岡山県立大学)「教父哲学における「美」の問題(仮)」

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