第175回教父研究会例会のご案内

第175回教父研究会は 2021年12月4日(土)オンライン(Zoom)にて開催される予定です。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

日時:2021年12月4日(土)14:30 開始

会場:ミーティング URL はメール・手紙にて会員の皆様にお知らせしています。届いていない場合は、お手数ですが事務局までお問い合わせください。

参加にあたっては、次の三点を守ってください。
1. 表示名を「氏名」にしてください。
2. 司会者・発表者以外は音声を「ミュート」にしてください。質疑応答の際に司会者に指名されたときのみ「オン」にしてください。
3. 質問するときは「手を挙げる」機能を用い司会者に指名されるのをお待ちください。

今回は非会員の参加も可能となっております。関心のありそうなお知り合いがいらっしゃる場合は、「非会員専用参加受付フォーム https://forms.gle/LtWhdaCsWS9y9pV79」をご案内ください。

懇親会は実施しませんが、例会後もしばらくZoomミーティングを開いたままにいたしますので、自由にご歓談ください。

発表題目:スュランにおけるパウロ──近世神秘主義における身体の詩学の一断面

発表者:渡辺優(東京大学)

要旨:
 17世紀ボルドーのイエズス会士ジャン=ジョゼフ・スュランは、西欧近世に現れ、そして消えていった「神秘主義(la mystique)」という知の、最も鮮烈な体現者の一人であった。20世紀後半以降、とりわけミシェル・ド・セルトーによる研究を画期として、スュランはじめ近世神秘主義研究は大きく進展し、旧来の神秘主義理解を根本から刷新するとともに、現代におけるキリスト教霊性研究にも新たな地平を切り拓いてきた。
 こうしたなか、近年の研究において改めて重要な論点として浮上してきているのが「身体」である。身体は、セルトー未完の神秘主義論の枢要点でもあった──彼の来るべき神秘主義論は「身体の詩学」として構想されていた──が、その後の人文社会科学の展開とも相俟って、キリスト教霊性・神秘主義における身体の問題は、なお再発見されるべき領域として残されている。
 発表者は、西欧近世神秘主義を軸にキリスト教霊性の問題系を広く視野に収めつつ、そこにおいて身体が果たす代替不可能な役割を探りたいと考えている。極めて大きな課題であるが、本発表では、スュランにおけるパウロ解釈に焦点を置いて、ひとつの、だが内容豊かな断面を切り出すことをねらう。
 発表者はすでに、「スュランにおけるパウロ研究序説──『パウロの神秘論』の風を受けて」(『パトリスティカ』第25号掲載予定)において、「ルーダンの悪魔憑き」事件以後のスュランに認められる「ソーマ的変容」が、まさしく「はらわたにつきささったあなたのことばを身に帯び」(『告白』IX, 2, 3)つつ生きる、パウロ=アウグスティヌス的神秘論の系譜に位置付くことを明らかにした。本発表では、近世神秘主義へと至るこの系譜とその思想史的射程をより立体的に把握することを試みるとともに、パウロのことば、わけても聖霊を語ることばが、スュランのことばをいかに支え、触発し、それと共鳴しつつ息吹いているかを看取したい。


この件に関するお問い合わせは下記教父研究会事務局にお願いいたします。

〒141-8642東京都品川区東五反田三丁目16-21
清泉女子大学文学部文化史学科
坂田奈々絵研究室
mail: secty.jsps [at] gmail.com