第128回教父研究会

第128回教父研究会は、2009年6月27日(土)12時30分~17時45分、聖心女子大学1号館4階大会議室において開かれます。例会は若手研究者発表会として、四名の方々にご発表いただきます。また、総会も行いますので、ご参加のほどよろしくお願いいたします(総会は12時30分から、総会終了後に研究発表となります。)。なお、通常の例会とは、開始時刻、プログラム構成、終了時刻のいずれも異なりますので、くれぐれもお間違いのないよう、お願い申し上げます。みなさまのご参加をお待ち申し上げております。

  • 高橋渉(東京大学大学院)「擬ディオニュシオスのキリスト論」
    • メッセージ:本発表は擬ディオニュシオス・アレオパギテース(5世紀末頃から6世紀初頭)のキリスト論というべきものについて、一つの考察を試みるものである。本発表の狙いは、これまで、その思想的特徴によって、主に新プラトン主義的な側面から把握されてきた擬ディオニュシオスの思想を、キリスト教的な側面から捉えかえすことで、より立体的に理解しようとするところにある。
  • 袴田玲(東京大学大学院)「神の光を見ることをめぐって─グレゴリオス・パラマスの擬ディオニュシオス解釈─」
    • メッセージ:神を見ることはできるのか。この問いをめぐるパラマスとバルラアムの対立は、14世紀ビザンツ帝国で巻き起こったヘーシュカスム論争において大きな位置を占めた。そして、相反する見解をもつ両者が自論の典拠としたのは、共に、(擬)ディオニュシオス・アレオパギテースその人であった。本発表では、彼らによる擬ディオニュシオス解釈の一端を提示することを通じて、神を見ることについて当時なされた思索の軌跡を追いたい。
  • 北川恵(上智大学大学院)「音楽による魂の上昇について─『音楽論』第六巻─」
    • メッセージ:再考録第一巻十一章一節によれば、『音楽論』は、人間はいかにして被造物を通して可変的なものから不変的なものへと達し得るかという問題が論じられているという。『音楽論』において、この議論は、音楽における数 numeri を正しく認識することから始まり、歌詞の言葉の意味 sententia を正しく認識することへと段階的に推移していく。本発表では、このような音楽による魂の段階的上昇とはいかなるものであるのかを、第六巻で三度引用されるアンブロシウスの讃美歌の引用のされ方と議論の背景を手がかりに考察してみたい。
  • 横田蔵人(京都大学大学院)「アウグスティヌスを逆から読む─『三位一体論』における実体の相互内在について─」
    • メッセージ:アウグスティヌスの『三位一体論』が描いた、人間の魂に「神の像」を見るという構想は、盛期スコラの神学者の心の理解においてあたかも公理のように扱われた。だが、彼らのアウグスティヌス像はどこかが「変」なのだ。本発表は、西方神学の解釈枠組を定めたペトルス・ロンバルドゥスの『三位一体論』理解を手がかりに、アウグスティヌスを逆から読むことで、スコラ哲学の魂論の特徴と問題点を考えたい。

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