第170回教父研究会は、2019年12月21日(土)14時30分から、東京大学駒場キャンパス18号館1階メディアラボ2において開かれます。
発表者:
Dr. Peter Steiger (Chaminade University of Honolulu)
発表題目:
The Formation of the Friends of God: Abraham and Job as Model Teachers in the Writings of Didymus the Blind
紹介者メッセージ:
4世紀のキリスト教神学者ディデュモスについての研究は、これまでの教父研究において、必ずしもメジャーなものではなかったかも知れないが、近年その翻訳や研究書の出版は増えてきている。ディデュモスの、ヒエロニムスやエウァグリオス、アクイレイアのルフィヌスらとの交流は、古代末期の教父思想の実態を明らかにする上で注目に値するものであるし、オリゲネスに由来する思想がアンブロシウス、アウグスティヌスらに与えた影響を分析する研究においても、ディデュモスの神学、聖書解釈についての分析は欠かせないものとなりつつある。盲目であったという彼の特性も、彼の神学の形成を考察する上で、あるいはその言説の機微を知る上で興味深い。発表者のスタイガー氏は、アメリカ・カトリック大学において、現NAPS(北アメリカ教父学会)会長であるロビン・ダーリン・ヤング氏のもとで学び、ヤング氏の助言をきっかけにディデュモスの研究に入った。以来、20年以上その研究に取り組み、現在は、ディデュモスによる「ヨブ記」注解の英訳を出版に向けて進めている。スタイガー氏はまた、日本において教父研究がどのように育まれ、進展しつつあるかについても関心を寄せており、それが今回この研究会で発表したいという動機となっている。当日ご出席くださる皆さんからも多くを学びたいという意欲、日米の研究協力を促進したいという意欲も語っておられるので、年末のご多忙中と存じますが、ぜひ皆様にご出席いただけましたら幸いです。(佐藤真基子)
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東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻・高橋英海研究室
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