第118回教父研究会のご案内

第118回教父研究会は、2006年12月9日(土)14時-17時半に、明治学院大学 白金校舎本館1310番教室において開かれます。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。 水落健治「カシキアクムでの自由学芸」 メッセージ 紀元386年11月上旬~387年4月下旬、ミラノでの回心を経験したアウグスティヌスは、キケロのトゥスクルムでの談義以来の伝統に連なる「自由な閑暇」otium liberum を求めてミラノ近郊のカシキアクムに滞在し、友人・弟子との対話の中にカシキアクム対話篇や自由学芸の書物を執筆した。この半年足らずの期間に行われた知的営為がいかなるものであったかについての研究は、これまで、もっぱら A.V.ハルナックが提起した「アウグスティヌスの回心についての論争」との関連で行われて来た。だがこの事態は、1975年と1990年に発見された新書簡・新説教の出現によって新たな局面を迎えたといってよい。今回の発表では、これらの新資料を踏まえつつ、カシキアクムで行われた自由学芸を媒介とする真理探求がいかなるものであったのかを、『秩序』第二巻、および『書簡26』に収録されているリケンティウスの詩を手がかりに明らかにしたい。 参加費 500円

117th JSPS seminar

117th JSPS seminar will be held on 21 October 2006 2 pm to 5 pm at the Main Building Room 1507, Shirokane Campus, Meiji Gakuin University. Yoichi Arai (Tokyo Gakugei University), ‘The Field of Vision after the Dark Pictures: the Problem of Evil in St. Augustine’s City of God XXII, xxii-xxiv.’

第117回教父研究会のご案内

第117回教父研究会は、2006年10月21日(土)14時-17時に、明治学院大学 白金校舎本館1507番教室において開かれます。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。 荒井洋一「暗い絵の構図─アウグスティヌス『神の国』22・22–24における悪の問題」 メッセージ 私は加藤信朗先生と宮谷宣史先生の優れた御論文に教えられつつ、『神の国』第22巻22章から24章までの範囲に焦点を合わせて、そのテキストの迷路のような小道に分け入ってみたい。このテキストを再読していると、一連の暗い絵が浮かび上がってくるように見える。私の発表は「暗い絵」の構図の一端を明らかにしようとする小さな試みである。その途中で、最晩年の、偉大な言葉の巨匠が、読者のために残してくれた、皮肉な笑いの場面などにも足を止める。 参加費 500円

116th JSPS seminar

116th JSPS seminar will be held on 24 June 2006 2 pm to 5 pm, as the JSPS 30th Anniversary Lecture, at the Blue Parlour, Marian Hall, University of the Sacred Heart. Robert Charles Hill (Centre for Early Christian Studies, Australian Catholic University), ‘John Chrysostom, Commentator on the Old Testament.’

第116回教父研究会のご案内

第116回教父研究会は、2006年6月24日(土)14時-17時に、聖心女子大学マリアンホール、グリーンパーラーにおいて開かれます。今回は教父研究会設立三十周年記念特別講義として、ロバート・チャールズ・ヒル博士(オーストラリア・カトリック大学初期キリスト教研究所)をお招きしました。みなさまのご参加をお待ち申し上げております。発表原稿(英語)もあわせてお送りいたします。 ロバート・チャールズ・ヒル博士(オーストラリア・カトリック大学初期キリスト教研究所)「John Chrysostom, commentator on the Old Testament」 メッセージ 初期キリスト教の時代、教父たちは東方でも西方でも、パストラル・ケアの一環として聖書の注解を教会の会衆のために行ってきた。その一部は(クリュソストモスやアウグスティヌスの場合のように)口頭で講話として発表され、速記者によって記録されてきた。クリュソストモスは福音書とパウロ書簡にかんする講話を行ったことでよく知られているが、創世記、詩編、イザヤ書、エレミア書ほかの旧約聖書についても講話を行った。これらの講話で彼は旧約聖書と新約聖書の信仰の調和をはかり、キリスト教徒にもユダヤ人の聖典を用いる権利があると主張した。アンティオキアの教父たちは寓喩的な解釈を釈義に適用せず、事実に基づく部分に注目することをよしとしたため、過度に歴史的事件に依拠しているとみられがちであった。クリュソストモスはアンティオキアの教父たちとは対照的に、詩編のもつ深遠な霊性に鋭敏であり、創世記にみられるような複雑な章句を解釈するときには、原則的に逐語的な解釈や根本主義的な解釈を斥け、旧約聖書の表現の曖昧さについて説教した。 参加費 500円

115th JSPS seminar

115th JSPS seminar will be held on 25 March 2006 2 pm to 6 pm at the Blue Parlour, Marian Hall, University of the Sacred Heart. Makiko Sato (Keio University), ‘The “animus” in Augustine’s Confessions X.’ Yukiko Okabe (Kumamoto Health Science University), ‘The Idea of “beata uita” and the Basis of Ethical Thoughts: Augustinus, Conf. X.’

第115回教父研究会のご案内

第115回教父研究会は、2006年3月25日(土)14時-18時に、聖心女子大学マリアンホール、グリーンパーラーにおいて開かれます。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。 佐藤真基子「アウグスティヌス『告白』第X巻における について」 メッセージ 自らの過去についての告白を終え、現在いかなる者であるかについて示すと宣言 (Conf. X, 4, 6) した後、アウグスティヌスは、自らの全てを知る者である神を探求している (5, 7-26, 37)。そしてこの神を探求する議論においては、「自分自身」と animus の概念が密接に関係づけて論じられている。この議論において論じられている animus がいかなる概念であるかを明らかにすることによって、現在自らがいかなる者であるかを告白することに、どのような意義が見出されているか考察する。 岡部由紀子「“beata uita” 概念と倫理的思考の基盤─ Confessiones X」